IGP・PCIeビデオカード共存のためのM/B-BIOS設定 2012/05版

このページでは、amachiが使ったことのあるM/Bを例に、設定方法を説明しています。

M/B-BIOSでの共存に関わる設定項目はせいぜい二つくらいなので、慣れてしまえばそう迷うことはないと思います。 チップセット/マザーメーカーによって、項目の語句や設定後の挙動が若干違うので、初めてPC組む時は混乱するかも知れませんが。

MSI H55-GD65 (Intel H55チップセット) の場合

この板は、x16形状スロットを二本持っており、上側のx16スロットはノースブリッジ(CPU)側接続のx16リンク、下側のx16スロットはサウスブリッジ側接続のx4リンク(x1スロット使用時x2リンク)、残りのx1スロット二本もサウス側接続。
 Intel5シリーズ(Ibexpeak)までのIntelチップセットは仕様上、IGPとノース側接続x16リンクPCIeは排他になる

この板の場合、VGAデバイス共存に関わる設定項目は「Primary Graphics Adapter」のみ。ここでPOST時の画面出力に使うVGAデバイスを決定する。どんなPCでも、POST時に使えるGPUは一つだけだ。
 ここでの設定値は、「Internal」「PCI」「PCI-E」の三つ。「Internal」にするとPOST画面出力はIGPから、つまりM/Bの映像出力端子からになり、「PCI」や「PCI-E」では、それぞれの形式のスロットに挿したビデオカードからとなる。

ちなみにビデオカードを全く挿していない状態で「PCI」や「PCI-E」にするとどうなるかというと、やはりPOSTはM/B側の端子から出力される。POSTにかかる時間はちょっとだけ延びるが。要するに「Primary Graphics Adapter」という項目は、最初にどのインターフェイスにVGAデバイスを探しに行くか、ということだ。


☆上側のx16スロットにビデオカードを挿した場合

・設定値が「PCI-E」→IGP無効
・設定値が「Internal」→PCIeビデオカード無効

 とまあ、上側のx16スロットを使った場合は、仕様通り完全に排他となってしまう。

☆下側のx16スロットにビデオカードを挿した場合

・設定値が「PCI-E」→IGP無効
・設定値が「Internal」→IGP/PCIeビデオカードとも有効

 よって共存する場合は、POST画面出力がどうしてもIGP側になる。
x1スロットを使うと、下側のx16スロットがx2リンクになってしまうのは何故か

これ取説には書いてないので、最初は迷ったのだが・・・。

理由はH55のPCIeレーン数が不足しているためだ。H55は6レーン/6ポート。LANコントローラ(Realtek RTL8111DL)とATAコントローラ(JMicron JMB363)で1レーンずつ使っているため、残りレーン数は4。この4レーンを三つのPCIeスロット(x1,x1,x16)にどう配分するかだが、MSIはこれにPericomのPCIeスイッチICを用いている。

ボタン電池の下にあるのがそのスイッチIC、PIPCIE2412。2レーン分の信号線を分岐できる。
 nForce4などPCIeインターフェイス登場初期、SLI構成のためのPCIe信号線切り替えは、ジャンパやスイッチカードなどでユーザーが物理的に配線を変更していたが、そういった手間が無くなったのも、こういったスイッチICが開発されたおかげだ。

H55のPCIeはブロック図にすると多分こんな感じ。x1スロットに拡張カードを挿してPC起動すると、自動的にx1スロットへのリンクが有効となる。

なおx1スロットを一つ使いつつ、下側x16スロットをx3でリンクすることは、チップセットの仕様上できない。

ちなみにPCIeスイッチには、このようにPC起動時に(またはBIOS設定で)スイッチ状態を固定するタイプと、接続される各種デバイスの利用状況に応じて動的にスイッチするタイプがある。後者のスイッチの場合は、オンボードデバイスやPCIeスロットを、PC再起動の必要無しにまんべんなく利用できる。使いたいデバイスと帯域をよく考えた上でM/Bを選択しよう。

Biostar TF8200A2+ (nVIDIA GF8200/nForce730aチップセット) の場合

HybridSLIをサポートしたMCP78(GF8200/nF730a統合チップセット)。HybridSLI機能が組み込まれる以前のnVIDIAチップセットでは、共存の可否は板によりまちまちだった。

この板の場合、共存に関わる項目は四つ。他のメーカーに比べると文字数が長くなっているが、その分内容はわかりやすい。
 まず「Primary Graphics Adapter」。 ここでPOST出力のVGAデバイスを決定する。前述のH55と違って共存する場合でも、POST画面出力するVGAデバイスを任意に選べる

「iGPU and Ext-VGA Selection」。ビデオカードを挿した場合の、IGPの無効/有効を設定する。下側の「Both Exist~」を選べば、ビデオカードがGeForceであろうがRadeonであろうが、共存が維持される

「iGPU Frame Buffer Detect」。IGPが、VRAMとして予約するメインメモリサイズを自動設定するかどうか。「Auto」なら、搭載するメインメモリ容量に比例した値が自動設定される。「Disabled」にすると、次の「iGPU Frame Buffer Size」の値を手動設定できるようになる。

「iGPU Frame Buffer Size」。「Disabled」を選ぶと、ここでもIGPを無効にできる。







Asus M3A78Pro (AMD 780Gチップセット)の場合

他のチップセットベンダーに先駆けてAGPチップセット時代から、IGPとノースブリッジ側に接続されたビデオカードの共存を可能にしていたAMD(当時ATi)。その機能を「SurroundView」と名付けて広報している。

この板の場合、共存に関わる項目は二つ。まず「Primary Display Adapter」で、ここでPOST画面出力のVGAデバイスを決定する。設定値は、「PCI-E」、「PCI」、「Onboard」。

お次は「SurroundView」。Radeonビデオカードを挿したときのみ値の設定ができる。ズバリ言ってしまえば、Radeonビデオカードをプライマリとして扱うか、無効にするかを決定する項目だ。設定値は、「Enable」、「Auto」、「Disable」の三つ。





☆値が「Enable」の場合
 「Primary Display Adapter」の値がなんであろうが、強制的にRadeonビデオカードをプライマリとして起動、IGPと共存が可能になる。

☆値が「Auto」の場合
 「Primary Display Adapter」の値に応じて挙動が変わる。「PCI-E」なら普通に起動して共存するし、「Onboard」ならRadeonビデオカードは無効になる。

☆値が「Disable」の場合
 Radeonビデオカード無効。


SurroundViewはRadeonビデオカードを使ったときのみの機能、と思っている人は多いだろうが、実は「Primary Display Adapter」を「Onboard」にしておけば、GeForceビデオカードでもIGPとの共存が可能だ。 ・・・この板だけの仕様かも知れんけどナ。

というわけで、この板で共存する場合のPOST画面出力は、Radeonビデオカードを使うならビデオカードから、GeForceビデオカードを使うならIGPからとなる。




Gigabyte Z77X-UD3H (Intel Z77チップセット) の場合

Intelチップセットではこの前世代、Intel6シリーズ(CougerPoint)チップセットから、IGPとCPU(ノースブリッジ)側接続PCIeビデオカードとの共存が可能になっている。

この板の場合、共存に関わる項目は三つ。まずは「Init Display First」でPOST出力で使うVGAデバイスを決定する。下の項目「Internal Graphics」との値の組み合わせ次第で、POST画面出力用VGAデバイスを選べる。

「Init Display First」と「Internal Graphics」の関係はこんな感じ。「Auto」は基本的にはIGPを無効にしてビデオカード側を優先する。PCIビデオカードについては、実際に挿して検証するのが面倒だったので勘弁な。

「Primary PEG」。x16形状スロット群をビデオカードで埋めた場合、どのスロットを優先する(POST画面出力に使う)かを決定する。「Init Display First」の値が「Auto」または「PEG」の場合に設定可能。

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