nVIDIAが1GPUで四系統出力が可能なKeplerを発表したのが今年四月。 まとめページやってる人間としては、実際に使ってチェックしなければなるまいと思ってましたが・・・。
最近ようやく買う気になったので、Keplerのマルチディスプレイ周りについてざっくりとインプレを書いておきます。
なお、残念ながら私は同じ型番のディスプレイ三台も持っていませんので、Surround表示におけるゲームプレイ等の感想は書けません。また、3D Visionについても書く気はありません。ご了承ください。
買ってきたブツ
GigabyteのGV-N670OC-2GD。Tom's Hardware Guideでは、入手困難なAsus-DC2Tに次いで静かだという話だったので購入。Skyrimさくさくプレイが目的の一つだったので、GK107は最初から選択肢にありませんでした。
期待してた静音性は、というと室温36度超えの真夏部屋+Skyrimという悪条件ではあんま意味なかったですね。Civilization5は、あまりGPU負荷が大きくないようで我慢できるレベルでしたが。アイドル時はもちろん静かです、特に二画面出力時は(理由は後述)。
出力端子部。DL-DVI*2(DVI-I/DVI-D),HDMI,DisplayPortというGK104の標準端子構成。
前世代GF500シリーズまではデュアルDVIカードでも、DVI端子両方ともがDVI-Iで、両方アナログRGB出しできるのか/片方しかできないのか不明でしたが、今作600シリーズからは明確にDVI端子を使い分けるようになったようですね。
DisplayPortは、以前のDP変換アダプタ記事で使ったアクティブ/パッシブ両方とも正常に画面を出力することができました。デュアルモード対応なら対応と言ってくれよもぅ。
ちなみに、POST画面出力はDVI-I端子が最優先で一画面のシングル出力のみ。昔(GF200シリーズくらい?)の世代までではPOSTは二画面にクローン表示してくれてたんですけどね。ここらへんはRadeonに比べても(HD5-6kでのPOST表示は、DP>HDMI>DVIの順で優先でクローン二画面)ちょっと不親切になってしまいましたね。
試験機構成
- CPU
- Core i5-3570K
- メインメモリ
- PC3-10600 DDR3 2GB*2 1.5V
- M/B
- Gigabyte Z77X-UD3H
- ストレージ
- SSD1 M4-CT256M4SSD2, SSD2 SSDSA2MH080G1GN, HDD WD6400AAKS
- 電源ユニット
- VX450W
- OS
- Windows7 Pro 64bit
- 他
- ケースファン二個、USB等の小物デバイスが三つほど接続済み
- ディスプレイと接続パターン
- DVI-I→L885(一台目), DVI-D→L885(二台目), HDMI→RDT271WV DP→(アクティブ/パッシブアダプタ)→TH-20LX80もしくはRDT271WVのHDMI二本目
- PCケース
- P183
- 電力計
- TAP-TST5
旧OSの対応度
まず、Win7での評価に入る前に、旧OSでの動作を見ておきます。今回の記事で使用したドライバはすべてnVIDIA公式において301.42として公開されているもの。パッケージは別々ですが。
XPのばやい
XP用ドライバでは、いまだ健在のデスクトップ管理ツールnView。Vista以降用のドライバではQuadro系専用となってしまいました。変にケチ臭いところありますねNVは。
なお、nViewActivatorという改造パッチがありまして、それを利用すれば、Quadro系ドライバパッケージに同梱されてるnViewをGeForceカードでも使えるようです。出所不明のパッチでも全然気にしないぜ、という人は探してみましょう。
Vistaの場合
Win7の場合
クローン表示
最大対応解像度UXGA(1600*1200)のL885と、FullHD(1920*1080)のRDT271WVでクローンを組んだ時の選択可能解像度。 Vista以降、ディスプレイの最大対応解像度を超える画面解像度を設定することはできなくなっています。よって、最大対応解像度の異なるディスプレイ同士でクローンを組んだ場合、設定しうる画面解像度は、構成ディスプレイ中もっとも最大対応解像度の小さいディスプレイ以下の値に限定されます。
Surround表示(ラージデスクトップ)
Surround設定画面。三画面連結ができるんだったら二画面のみ連結も当然できるっしょ? ・・・そんな風に考えていた時期が俺にもありました。 意外なことにSurround表示は3ディスプレイでしか構成できない。これはNVS系Quadroとの差別化のためですかね?
この場面では、L885二台、RDT271WV、そして家庭用TVのTH-20LX80を接続しているのですが、TH-20LX80をSurroundの構成に含めることはできませんでした。
nVIDIA公式によると、Surround表示の構成ディスプレイ要件は、「すべてのディスプレイにおいて、共通の解像度、リフレッシュ速度、および同期極性が必要」とありますので、対応解像度が違いすぎるディスプレイは、自動的に仲間はずれになるのかな?
L885とRDT271WVのEDIDには、いくつか共通する使用可能画面解像度があるので、それがSurround表示の設定可能解像度に反映されてるようですね。
実際に3840*1024の2D Surroundを有効にしたところ。記事のためにディスプレイの配置組み直す気力は無かった。上のディスプレイが真ん中、下の縦置き二台がそれぞれ左右の表示を担当。壁紙は1920*1200のものを「ページ横幅に合わせる」状態。
「タスクバーを中央ディスプレイに限定する」、「ウィンドウをすべてのディスプレイにわたって最大化する」。ドライバ301.42から実装された機能。Surround表示時しか、NVコンパネに設定項目が現れません。
画像内では両端にピンク色で塗りつぶした部分、本来ラージデスクトップではタスクバーが長~く表示される部分なんですが、前者の機能のおかげで一画面内に納まるようになります。ただ、タスクバーのあったスペースを有効に使えるわけではありません。あくまで本来両端画面に位置するタスクバーを透明化するだけです。これはRadeonのCCCも同様。 タスクバーが画面上部に位置する時のみ、ドラッグでウィンドウを上辺部に持って行くことができなくなる模様。
アイドル時の消費電力
有効出力数で消費電力はどう変わるか、という点をチェック。OS起動後、最も消費電力が安定した時の値を採っています。ちなみに試験機はビデオカード抜きでは、56W程度。
デスクトップ形態 | 有効出力端子 | 消費電力W |
---|---|---|
マルチデスクトップ | 全四端子有効 | 106 |
DVI, DVI, HDMI | 106 | |
DVI, HDMI | 74 | |
シングル | HDMIのみ | 72 |
2D Surround | DVI+DVI+HDMI | 72 |
2D Surround + アクセサリディスプレイ | DVI+DVI+HDMI, DP | 106 |
っとまあこんな感じで、アイドル時は2種類のクロック定義を持ってるようですね。70W台の時はコア/VRAMクロック324/162MHz、100W台の時は549/1502MHzでした。以前使ってたGT240は二画面有効にした時点でVRAMフルクロックになってしまっていたんですけど、その点、今作は電力を抑える設計になってるようです。逆に、単に事務アプリ使用目的で四画面使いたいだけの人にとっては、消費電力面のメリットはありませんね。GK104よりも規模の小さいGK107ではこの辺どうなんでしょうか。
なお、コアクロック324MHzの時は、室温36度でもファン回転数800-900rpmに抑えられており、ファンの風切り音は聞こえません。549MHzの時は1200rpmまで上がり、ファンが回ってるのがわかるレベルになります。 冬になれば、もっと静かになってくれると思いますが。
GPU温度はチェックするの忘れてましたサーセン
マルチストリームオーディオ
デジタルオーディオ出力設定画面。端子ごとに音声出力の有効/無効を切り替えることができます。RadeonHD7kの六系統には及びませんが、四系統全部音声出力できるようです。とりあえずHDMI/DP端子二系統のリニアPCM2ch音声同時出力は確認しました。映像出力切っても、サウンドミキサーのレベルメーターは動いているので、プレイヤーソフトと受け側デバイス次第では、映像と音声の分離出力も可能かな?
感想
ホットキーをくれ
この一語に尽きます。つーかホットキーが「ベゼルコレクションの有効/無効」のみ。Surround表示の有効/無効はおろか、IntelのVGAドライバでさえ備えている画面回転のホットキーすら無いってのはどーゆうことじゃい。nVIDIAには早急にnViewをGeForceカードに解放することを望みます。
Win7標準ホットキー
のWin+Pでできる表示モード切替機能。一応この、「コンピュータのみ」と「拡張」でSurroundとマルチデスクトップの切替ができるが、Surround解除した時に、元のデスクトップ配置に戻るとは限らない。ついでですが、ディスプレイメーカーさん達にも一つお願い。対応解像度/リフレッシュレート一覧は公式ページの見やすいところに明記してくださいね。もちろんHDMIやDP等、接続するインターフェイスによって使用可能な画面モードが異なる場合はちゃんと分けて書く。ディスプレイの価格低下でこういったラージデスクトップ構成が珍しくなくなっているのですから、各画面モードにおける同期極性まできっちり表記して頂けると嬉しいです。